「脳丸」大びん。
2011年 07月 08日

便秘薬の「毒掃丸」で有名な山崎帝國堂の「脳丸」。全長90mm。
「頭脳の不完全なる者は馬鹿であります」の名キャッチでも有名である。

創業者山崎嘉太郎は、1888年(明治21年)、東京市神田区花房町に
売薬化粧品商・山崎帝國堂薬房を創業。
その後、東京の支舗山崎太陽堂、大阪の支舗山崎兄弟商会や九州支舗を
設立するなど次々に業容を拡張し、全国展開を進めていった。

日本においては、明治維新に漢方から西洋医学に劇的に転換したことを
境に、伝統医学と現代まで指示される西洋医学が激しく断裂した。

明治期に入り精神病や脳病、神経衰弱という病が、人々の間で一般化した
背景には、人々の身体感覚が漢方の五臓六腑説から西洋医学の唯脳論へ
移行していった経緯がある。
漢方では人間の体は、全身を気血水が循環するシステム「経路と五臓六腑」
によって統合されていると考えられていたので、神経系や脳についての
知識をまったく持ち合わせていなかった。
しかし、これが幕末の一般人の知識であった。
江戸から明治へと移り変わり、身体観が五臓六腑から唯脳論へ移行した
ことによって祟りや狐憑きといった身体感覚が脳の病として
捉えられるようになる。
このような新しい病の定着にこの「脳丸」や丹平商会の「健脳丸」などの
広告がおおいに一役買っていたようだ。
もちろん、このインパクトある図像によって、イメージのリアリティを
いっそう増大させていったのである。

この中身入り「脳丸」の大びんは、ハワイの友人のボトルコレクターから
譲り受けたと云う日本の方から、譲って頂いた。
もしかすると、この「脳丸」はハワイを渡って、日本へ帰って来た
里帰りボトルなのかも知れない。
ハワイには、古い日本のびんたちが数多く眠っているようだ。
出典:「心の病の日本近代」 青野有香里
by hbc_nkzk2
| 2011-07-08 23:11
| 薬びん

